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なぜ今、クラウドネイティブ人材の確保が急務なのか?

2026/7/3|oda

はじめに

——「Kubernetesエンジニアを探しているが、なかなか採用できない」
そんな声を、IT業界のあちこちで耳にするようになりました。
コンテナ技術やKubernetesはもはや一部の先進企業だけのものではなく、企業のITインフラの“標準"になりつつあります。
しかし技術の普及スピードに、それを扱える人材の育成が追いついていないのが実情です。

本記事では、最新の調査データを交えながら、なぜ今クラウドネイティブ人材の確保・育成が急務なのかを整理し、企業が取るべきアプローチについて考えます。

Kubernetesはすでに「本番運用が当たり前」の技術になった

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Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が2026年1月に発表した年次調査によると、
コンテナを利用している組織のうち82%が本番環境でKubernetesを運用しているという結果が出ています。
これは2023年調査の66%から大きく上昇した数字で、わずか数年でKubernetesが「試験導入」の段階
から「本番の基盤技術」へと一気にシフトしたことを示しています。

さらに同調査では、回答組織の98%がコンテナやGitOps、オブザーバビリティ、CI/CDといったクラウドネイティブ技術をすでに導入済みと回答しており、59%の組織が開発・デプロイ対象システムの多くまたはほぼすべてがクラウドネイティブだと答えています。
クラウドネイティブ技術を全く使っていない、あるいは導入初期段階にとどまる組織はわずか10%まで減少しました。

背景には、生成AIをはじめとするAIアプリケーションの急拡大があります。
AIワークロードを本番環境で安定稼働させるための「デファクトOS」としてKubernetesが選ばれるケースが増えており、AI活用を進める企業ほどクラウドネイティブ基盤への投資と、それを支える人材への需要が高まっています。

課題は「技術」から「人」へ移っている

興味深いのはクラウドネイティブ導入における最大の課題が、技術的な問題から組織的な問題へとシフトしている点です。
CNCFの調査でも、コンテナ技術を実装・利用する際の最大の課題として「開発チームの文化を変革すること」が47%でトップとなり、次いで「トレーニング不足」と「セキュリティ」がそれぞれ36%で続きました。
2023年調査では課題の上位はセキュリティやシステムの複雑さ、モニタリングでしたが、技術そのものへの対応力は一定水準に達し、今はむしろ「技術を使いこなす組織・人材をどう作るか」が焦点になっているのです。

現場からも、人材不足を訴える声は少なくありません。
あるインフラベンダーのソリューションアーキテクトは、Kubernetesは優秀なエンジニアによって推進される技術である一方、そのスキルを持つ人材が同じペースで育成されているとは限らないと指摘しています。
スキルが身につくとすぐに転職してしまう傾向もあり、環境を維持できなくなるリスクを抱える企業も出てきています。
加えて、Kubernetesは登場から10年ほどの比較的新しい技術であるため、経験豊富なベテランエンジニアであってもリスキリングが避けられません。

Kubernetes自体も約4か月に一度のペースでバージョンアップが行われ、サポート期間は最長でも1年半程度と短命です。クラスタのアップグレード作業自体は自動化ツールである程度シンプルにできても、その上で動くアプリケーションの動作担保や周辺ツールとの互換性確認には、依然として深い専門知識が求められます。

「飛び抜けて求められるスキル」としてのKubernetes

Kubernetesに関するスキル需要の高さは、以前から求人市場でも顕著に表れています。
海外の求人・転職サイトの調査でも、数あるIT関連スキルの中でKubernetesへの需要が突出しているという結果が示されたことがあり、Terraformなどクラウドインフラ構築スキルとあわせて求められる傾向が続いています。

日本国内でも状況は同様です。転職サイトの求人一覧を見ると、SRE、インフラエンジニア、フルスタックエンジニアなど職種を問わず「Kubernetes」「クラウドネイティブ」というキーワードが並び、Platform Engineering(プラットフォームエンジニアリング)やマイクロサービス化を推進するポジションが数多く募集されています。
フリーランス・副業向けの案件でも、マルチクラウド設計やGitOps、可観測性の経験を持つエンジニアほど高単価案件に参画しやすい傾向があり、インフラ・クラウド領域はリモートワークとの親和性の高さも相まって案件数が増加を続けています。


企業が今とるべきアプローチ

こうした状況を踏まえると、企業がクラウドネイティブ人材への対応として検討すべきポイントは、大きく3つに整理できます。

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1. 内製化・リスキリングへの投資

Kubernetesは特定の個人に依存しやすい「属人化」のリスクが高い技術です。
特定のエンジニアが退職・転職しただけで運用が立ち行かなくなる事態を避けるためにも、社内でのトレーニングや資格取得支援、ハンズオン研修などを通じて、チーム全体でスキルを底上げする取り組みが欠かせません。

2. 標準化による負荷軽減

顧客ごと・プロジェクトごとに異なる技術スタックを使っていると、必要なスキルセットも分散し、人材育成の効率が下がります。マネージドサービスやプラットフォーム製品を活用して環境を標準化することで、限られた人材でも複数のシステムに対応しやすくなり、引き継ぎのしやすさや属人化リスクの軽減にもつながります。

3. AIを活用した学習・運用支援

近年はAIアシスタントによるログ分析やトラブルシューティング支援を提供するプラットフォームも登場しています。経験の浅いエンジニアでも、AIのサポートを受けながら運用を通じてスキルを習得できる環境が整いつつあり、今後は人材育成のハードルそのものを下げる要因になっていくと期待されています。

まとめ

クラウドネイティブ技術、とりわけKubernetesは、AI活用の拡大も追い風となって
「導入するかどうか」を検討する段階をすでに終え、多くの企業にとって「いかに安定運用し、使いこなすか」が問われるフェーズに入っています。
一方で、技術の急速な進化スピードに人材育成が追いつかず、スキル不足や属人化が組織的なリスクとして顕在化しているのが現状です。

だからこそ今、クラウドネイティブ人材の確保・育成に早期に着手することが、これからのIT競争力を左右する重要な経営課題だといえるでしょう。自社の技術戦略においても、採用だけでなく、既存メンバーのリスキリングや標準化された運用基盤の整備を含めた、多角的な人材戦略の検討をおすすめします。


本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。

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